研究概要 |
研究最終年度である平成18年度は,次のように研究を遂行した。 (1)中学校理科「慣性の法則」(モーションセンサのしくみ)学習コンテンツ開発 事例外挿法により,中学校理科「慣性の法則」の学習コンテンツ開発を行った。外挿事例は,ゲーム機や自家用車のエアバッグで利用されているモーションセンサ(加速時計)である。事例を提示しながら,モーションセンサがどのように動きを感じているのかを考え,最終的に慣性の法則を利用していることを理解するコンテンツである。 (2)中学校理科「物質の三態変化」(金属蒸着)学習コンテンツ開発 事例外挿法により,中学校理科「物質の三態変化」の学習コンテンツ開発を行った。外挿事例は,金属の薄膜形成技術の一つである金属蒸着である。事例を提示しながら,お菓子の袋やCDなどがどのように作られているのかを考え,最終的に金属を蒸発させて薄い膜を形成していることを理解するコンテンツである。 (3)学習コンテンツの実践・評価と事例外挿法の学習モデルの開発 昨年度実施した「相対運動」学習コンテンツによる評価と同様,慣性の法則,ならびに物質の三態変化のコンテンツについても,中学生を対象として実践を行い,コンテンツの評価を行うとともに,学習モデルを構成した。まず,コンテンツの評価から明らかになった点は,(1)分かりやすい事例が「面白い」とは限らない(静止衛星<<VTRのヘリカルスキャン),(2)知れば知るほど「もっと知りたくなる」(探究度「もっとくわしく調べてみたいなあ」は段階的に向上する,(3)外挿活動の効果としては,概念の応用性「活かされている」,必要性「私に必要」という感覚が高まる,という結果が得られ,これらの結果から,学習モデルに基づき,外挿事例をどのように選択し,教材を構成すればよいかの条件(科学的概念の応用性,学習者の身近さ)の明確化を図った。
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