研究課題/領域番号 |
17013026
|
研究種目 |
特定領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小池 和彦 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80240703)
|
研究分担者 |
新谷 良澄 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (80261965)
三好 秀征 東京大学, 医学部附属病院, 医員 (00401042)
|
研究期間 (年度) |
2005
|
研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
|
配分額 *注記 |
9,100千円 (直接経費: 9,100千円)
2005年度: 9,100千円 (直接経費: 9,100千円)
|
キーワード | 肝発癌 / C型肝炎ウイルス / マウスモデル / ミトコンドリア / 予防薬 |
研究概要 |
[目的]HCV感染症においては、高頻度、多中心性に肝発癌が認められる。このように稀な発癌の様式は、肝における酸化ストレスの産生が他の肝炎に比べて強いことが、その原因の一つであると推定される。我々は、HCV関連肝発癌モデルであるHCVコア遺伝子トランスジェニックマウスを用いて、C型肝炎における酸化ストレスの発生機序とその役割について、ウイルス側からの因子を検討した。 [方法]コア遺伝子トランスジェニックマウス、およびコントロールマウスを用いて、酸化ストレス発生、脂質代謝、糖質代謝、ミトコンドリア機能について検討した。また、ラット肝ミトコンドリア、コア蛋白産生HepG2細胞も適宜実験に用いた。また、ビタミンK、FK-506、糖代謝改善薬などの薬剤を投与したマウスについても検討を行なった。 [結果]コア遺伝子トランスジェニックマウスにおいては、酸化ストレス産生が炎症の不在下に亢進していた。この酸化ストレス産生の原因としてミトコンドリア電子伝達系の機能異常が認められた。これによって、肝細胞内のNADH蓄積が起こり、小胞体等における酸化ストレス産生が亢進していることが推定された。コア蛋白は肝細胞ミトコンドリアの外膜に局在しつつ、ミトコンドリア電子伝達系の機能に影響を与えていた。また、脂質代謝異常、インスリン抵抗性の存在は、酸化ストレスを助長させて肝発癌を促進すると考えられるが、ビタミンK、FK-506、糖代謝改善薬等の投与によって、これらの代謝異常の一部が改善された。 [結論]HCV関連肝発癌モデルであるHCVコア遺伝子トランスジェニックマウスにおいて、酸化ストレスが肝発癌の重要な因子であることが推定された。FK-506、ビタミンK、の投与は、C型肝炎における肝脂質代謝やインスリン抵抗性を修飾し、酸化ストレス産生、C型肝炎の進展、肝発癌を修飾する可能性が示された。
|