研究課題/領域番号 |
17013036
|
研究種目 |
特定領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
鎌田 徹 信州大学, 医学部, 教授 (40056304)
|
研究分担者 |
安達 喜文 信州大学, 医学部, 助教授 (50201893)
古田 秀一 信州大学, 医学部, 助手 (80126705)
|
研究期間 (年度) |
2005 – 2006
|
研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
|
配分額 *注記 |
9,500千円 (直接経費: 9,500千円)
2005年度: 9,500千円 (直接経費: 9,500千円)
|
キーワード | Nox1 / Ras / 活性酵素 / 膵癌 / レドックスシグナル / MAPKinase / メラノーマ / 大腸癌 |
研究概要 |
本研究の目的は、ヒト多段階発癌に寄与する活性酸素(ROS)産生遺伝子Noxファミリーの機能的役割をRas発癌モデルを用いて解明し、癌診断・治療の方法的基礎を築くことにある。我々は、既にRas-Raf-MAPKK-MAPK経路に介して誘導されるNox1がRasの癌化形質に機能的に必要であることを発見した。また、高頻度で、K-Ras活性型変異が認められるヒト大腸癌で、Nox1の高発現を検出した。この知見は、Ras癌細胞の増殖には、Nox1の産生するROSが情報伝達分子として必要であり、ある種のヒト癌の癌化形質維持にNox1が密接に関与するという新しい洞察をもたらした。本研究では、1)他のNoxファミリーによるヒト癌の媒介的役割の解明、2)Nox1によって産生されるROSの標的候補の解析、3)Nox1転写因子の同定を行った。 研究項目1:Nox4は、AKT-ASK1を介して、膵癌細胞のcell survivalに寄与することを初めて示した。また、メラノーマの場合、Nox4を不活化すると、細胞周期停止をもたらし、造腫瘍能を抑制することを明らかにした。 研究項目2:TOF-Massにより、小胞体蛋白のPDIファミリーに属する蛋白と同定し、細胞膜に局在することも見出した。 研究項目3:Nox1転写因子複合体に、HMG-1が含まれることを発見した。以上の結果により、Nox4も細胞内ROSの産生を増加させ、膵癌やメラノーマ細胞の生存に、必須的役割を果たしていると考えられる。また、AKT-ASK1の役割を同定することにより、その情報伝達機構の一端を解明したことは特筆すべきである。また、Nox1からの下流標的蛋白の候補として小胞体蛋白が同定され、Nox1の転写調節解明の糸口が見つかった。以上、Noxの情報伝達機構の解明に、前進をみたと考えられる。
|