研究課題/領域番号 |
17014028
|
研究種目 |
特定領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
森本 幾夫 東京大学, 医科学研究所, 教授 (30119028)
|
研究分担者 |
岩田 哲史 東京大学, 医科学研究所, 産学官連携研究員 (00396871)
矢持 忠徳 東京大学, 医科学研究所, 産学官連携研究員 (80306844)
|
研究期間 (年度) |
2005
|
研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
|
配分額 *注記 |
5,900千円 (直接経費: 5,900千円)
2005年度: 5,900千円 (直接経費: 5,900千円)
|
キーワード | β1インテグリン / Cas-L / ドッキング蛋白 / TGF-β / Smad6 / Smad7 / 癌浸潤 / 癌転移 |
研究概要 |
接着分子であり、シグナル伝達分子でもあるβ1インテグリンは、癌の浸潤、転移に重要な生物学的機能を有する。 本研究では、β1インテグリン分子及びインテグリンを介するシグナル伝達の標的分子として我々がクローニングしたCas-Lの癌浸潤、転移における細胞生物学的解析をすることを目的とした。Cas-L分子は細胞分裂、増殖、遊走、接着など広範囲な機能に関与する105kDのドッキング蛋白であり、β1インテグリン刺激のみならず、TCR刺激により、'チロシンリン酸化される。Yeast two-hybrid法を用いたスクリーニングの結果、Cas-Lは癌化、癌転移に関与するTGF-βの阻害蛋白Smad6及びSmad7と結合することが明らかになった。 免疫沈降法により、Full lengthのCas-Lの1ドメインの欠除によりSmad6及びSmad7とのドッキング機能が消失することが明らかとなり、Cas-Lの自然構造がSmad6及びSmad7との会合に重要であることが示唆された。一方、Smad6及びSmad7のN末端及びC末端の欠除変異体は依然としてCas-Lとのドッキング能力を保持しており、Smad6及び7はCas-Lといくつかの結合モチーフを有することが示唆された。さらにCas-LとSmad6及び7のMH2ドメイン(MH1ドメインではない)との相互作用がTGF-β誘導シグナル経路の増強に関与した。最後にsiRNAオリゴを用いてCas-Lの発現を低下させることによりHuh-7細胞のTGF-β誘導細胞増殖の抑制に抵抗性を示し、また同時にSmad2及びSmad3のリン酸化を減少させた。 これらの結果からCas-LはTGF-βの腫瘍不応性に重要な役割を果たしており、TGF-βシグナル経路に鍵となる調節分子であることが強く示唆された。
|