研究課題/領域番号 |
17014065
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
許 南浩 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (70173573)
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研究分担者 |
宮崎 正博 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助教授 (90116509)
阪口 政清 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (70379840)
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研究期間 (年度) |
2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
2005年度: 6,800千円 (直接経費: 6,800千円)
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キーワード | S100 / A11 / TGFβ / 増殖抑制 / p21 / 信号伝達 |
研究概要 |
S100C/A11を介する新しい信号伝達系が、ヒト正常表皮角化細胞の増殖抑制と発がんにどのような意義を持っているかを検討し、以下の結果を得た。 1.TGFβは受容体の活性化からSmadを介する経路とS100C/A11を介する経路に分岐するが、増殖抑制には両経路の活性化が必須であり、一方でもブロックすると抑制が解除されることが明らかになった。このことは、高Caの場合でも、Smad経路がNFAT1経路に代わるだけで成り立つことが分かった。 2.核内における両経路の集約機構を検討した結果、増殖中の細胞のp21プロモーターにはSp/KLF family memberのKLF16が結合して不活化しており、このKLF16を駆逐してp21プロモーターを活性化するには、両経路によってそれぞれ活性化されたSp1とSmad3を含む複合体が必要であることを明らかにした。以上を纏めて、論文に発表した(ProNAS USA 102:13921,2005)。 3.ヒト正常上皮細胞の多くはTGFβによって増殖が抑制され、それに対する抵抗性の獲得が発がんや悪性度の進展に関わると考えられている。TGFβに対する抵抗性獲得の機序としてS100C/A11経路の異常が関与しているかどうかを検討した。解析対象としたヒト扁平上皮がん細胞株は、全例がTGFβに対して抵抗性であった。TGFβによるS100C/A11、Smad3、Smad4の核移行は増殖抑制に必須であるが、これらのがん細胞株では様々組み合わせで異常が見られた。従って、がん細胞の示すTGFβ抵抗性の少なくとも一部はS100C/A11経路の異常によることが示唆された(投稿中)。 4.本研究で明らかになったS100C/A11の機能を治療に応用することを目指して、信号伝達機能を担うドメインとHIV由来の細胞内移行シグナルを融合したペプチドの大量合成と精製条件を確立した。このペプチドを培地中に添加すると多様な細胞でアポトーシスが誘導された。現在、その詳細な細胞内機構を解析中である。
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