配分額 *注記 |
39,800千円 (直接経費: 39,800千円)
2007年度: 12,300千円 (直接経費: 12,300千円)
2006年度: 12,300千円 (直接経費: 12,300千円)
2005年度: 15,200千円 (直接経費: 15,200千円)
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研究概要 |
CYP2A6はテガフール、ファドロゾールおよびレトロゾールなどの抗がん薬の代謝に関与する.またこれまでにCYP2A6には遺伝子多型が存在することが知られている.しかしながら,これまでに報告されている遺伝子多型だけでは,日本人のpoor metabolizer(PM)を十分に説明することができない.そこで,日本人49名および欧米人28名のCYP2A6遺伝子の5'-上流領域,全エクソン,エクソンーイントロン接合部位およびイントロン領域の塩基配列をダイレクトシークエンス法により解析した.その結果,CYP2A6遺伝子(約9kb)内に45この遺伝子多型を見出1した.そのうちアミノ酸置換(K194EおよびR203S)を伴う遺伝子多型(CYP2A6^*15およびCYP2A6^*16)についての検討を行なった.CYP2A6.15のクマリン7一水酸化酵素反応におけるVmax値は野生型の約65%であった.CYP2A6.16におけるKm値は野生型の約2倍であった.このことから,Arg203はCYP2A6の基質認識に重要であることが示唆された.しかしながら,分子モデリングの検討では,Arg203は活性部位の外側に存在していた.さらに詳細な検討により,Arg203Serが活性部位内に存在するPhe209の位置が変化させることを明らかにした.Phe209の位置の変化により,クマリンの認識が低下したため,クマリン7一水酸化酵素活性が低下したものと考えられる.以上の結果から,新規遺伝子多型であるCYP2A6^*15およびCYP2A6^*16はCYP2A6酵素活性を低下させ,薬物体内動態の個人差の原因となりうることが明らかとなった.
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