研究課題/領域番号 |
17015010
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
唐子 尭 (唐 偉) 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (00313213)
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研究分担者 |
幕内 雅敏 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60114641)
中田 宗宏 東海大学, 工学部, 助教授 (00266371)
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研究期間 (年度) |
2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2005年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
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キーワード | 消化器がん / 大腸がん / 肝転移 / 複合糖質 / 診断 / 自動識別システム / 組織化学 / 予後 |
研究概要 |
大腸がんは、早期発見率の向上に伴い他のがんに比較して術後生存率も向上しつつあるが、予後に関わっているがんの転移を診断することは困難である。我々はこれまでに、大腸がん組織中のがん細胞の一部に特殊なシアル化複合糖質が発現しており、しかも、その複合糖質の発現が、がんの浸潤や転移、患者の予後と深く関係していることを明らかにしてきた。そこで本研究では、大腸がんの予後に関わるメカニズムの理解および予後診断への応用を目指し、大腸のがん部組織に発現するシアル化複合糖質の本質の解明と、その組織中の分布量を組織染色切片のコンピュータ画像処理で自動的に解析するシステムの構築を試みた。まず、種々の糖鎖認識プローブを用いた解析の結果、浸潤や転移といったがんの憎悪に関わる複合糖質が、シアル酸含有糖鎖を抗原の一部とするモノクローナル抗体で認識されることや、リンパ節や肝臓での転移組織においては調べた全ての症例で陽性であることを明らかにした。一方、がん組織における複合糖質発現の自動解析システムの構築に関しては、まず、がん部組織と非がん部組織の識別に、パターン認識能力に優れたサポートベクターマシンを適用し、照合率90%以上の自動識別システムを構築した。さらにこのシステムに染色領域の画素数計算システムを導入し、がん部領域における複合糖質発現を自動定量するプロトタイプを構築した。本研究の結果、一つのがん組織においても糖鎖構造において「個性」的な集団が存在しており、その「個性」が患者のがん転移と予後に関わっていることや、その「個性」を調べることで患者の予後の推定が可能であることを示唆する知見が得られた。この複合糖質の発現は大腸がん患者のがんの転移と予後と深く関係しており、その本質の解明や組織内発現量の自動定量化は、糖鎖に着目した大腸がんの「個性」診断ともいえる新規治療指針提供法の確立につながると期待できる。
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