研究課題
特定領域研究
埼玉コーホート研究と原爆被爆者免疫コーホート研究を統合して、免疫、炎症、放射線被曝、発がんの関係を明らかにするのが本研究の目標である。埼玉コーホート研究により、末梢血リンパ球のNK活性の主たる遺伝的要因が活性型受容体NKG2D遺伝子領域のハプロタイプであることを見出し、コーホート内症例対照研究によりNKG2Dハプロタイプの発がんリスクを評価した。NK活性が低いハプロタイプを持つ人は一般集団の32%を占め、かつ発がんリスクも約2倍高いことになり、発がん全体への大きな寄与危険を示した。さらに、環境因子がNK活性に与える影響の程度は個人個人のNKG2Dハプロタイプによって異なることが示唆された。免疫学的がん予防はがん以外の免疫・炎症関連疾患の予防とも重複した効果を期待でき、今後の重要な研究課題と考える。現在、原爆被爆者免疫コーホートにおいてNKG2Dハプロタイプの発がんリスクと放射線被曝の関係を検討すべく準備している。原爆被爆者免疫研究では、放射線被曝と炎症性免疫の関係を示した。すなわち、一連の炎症指標で示される亜臨床的炎症状態は加齢によって亢進するが、被爆者では被曝線量に応じて炎症状態がさらに亢進する。1Gyの放射線被曝は、9年の加齢による炎症状態の亢進に相当する影響を与える。また、ゲノム解析により、炎症の指標の一つであり免疫抑制作用を持つIL-10遺伝子領域に同定したハプロタイプが、放射線被曝とともに原爆被爆者の胃がん発生に強く関連していることを見出した。このハプロタイプは血漿IL-10濃度と強く関連した。さらに、原爆被爆者免疫コーホートの10年の追跡調査により、変異性の指標である赤血球GPA変異率の被曝線量による増加の割合ががん罹患群では非罹患群に比べ顕著に大きいことを見出した。NK活性の場合と同様の表現型・遺伝子型関連解析より、放射線感受性の遺伝要因を探索中である。
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