研究概要 |
本申請研究は、ウイルスベクターを越える安全かつ有効な人工遺伝子デリバリーシステムを開発し、がんの遺伝子治療のための基盤技術を開発することを目的としている。本研究の基本戦略は、Tf/PEG/GALA-MENDとR8-MENDの長所を相乗的に発揮させるため,外側はTf-PEG/GALAで修飾し,コア粒子はR8修飾した多重構造を有するMEND(以下,多重型MEND)を作成し、がん組織選択的に,高い遺伝子発現能力を有する多重型MENDを構築し,in vivo遺伝子ベクターを開発し,がん遺伝子治療へ応用することを最終目的としている。平成17年度は、多重型MENDの構築方法を確立した。構築原理は、基本的にこれまでのMEND同様に、コアとなる凝縮化核酸粒子を脂質膜でコートするのであるが、リポソームの膜融合を利用した。すなわち、1)静電的相互作用によって凝縮化させ正に帯電させた凝縮化核酸ナノ粒子を調製し、2)負電荷脂質を含む小さい一枚膜リポソーム(SUV)を、凝縮化核酸ナノ粒子に静電的に結合させることでナノ粒子表面を覆い、3)酸性化や多価カチオン添加によってSUV同士の膜融合を誘起することで二枚膜を形成させ、ナノ粒子をコートする。得られたものは、二枚膜構造を有するMENDであるので、double-lamellar MEND(DMEND)と命名した。4)DMEND表面に正電荷を付与するため、ステアリル化オクタアルギニン(STR-R8)を添加し表面をR8ペプチドで修飾する。5)正に帯電したDMENDに、負電荷SUVを添加し、2と同様に表面をSUVで覆う。このときのSUVとして、2のSUVと異なる脂質組成を有するものを用いることが可能である。6)3と同様にSUV同士の膜融合を誘起し、DMENDをさらに二枚膜でコートする。得られたものは、四枚膜から構成されたMENDであるので、tetra-lamellar MEND(TMEND)と命名した。(特願2005-10998)
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