研究課題
特定領域研究
がんの発症にはアポトシスの回避が重要なステップであると考えられており、アポトシスに関連する因子の探索、および、パスウェイの解析は、がんの発症メカニズムおよび、がん治療を考える上で非常に重要な課題となっている。本研究課題では、ヒト遺伝子に対するsiRNA発現ライブラリーを用いて、様々な薬剤や刺激によるアポトシスに関して、アポトシスを抑制、促進する遺伝子の探索を行うことにより、アポトシスのパスウェイを包括的に解析することである。本年度においては、二本鎖RNAによるアポトシスのパスウェイおよび、シスプラチンによるアポトシスのパスウェイに関して、約700クローンのsiRNA発現ライブラリーを用いて、スクリーニングを行った。二本鎖RNAによるアポトシスに関しては、HeLaS3細胞にsiRNA発現ライブラリーをトランスフェクションし、薬剤耐性を用いて、トランスフェクションされていない細胞を除いた後、リポフェションにより二本鎖RNAを細胞に導入し、アポトシスを誘導した。その後、生死の判定を、クリスタルバイオレットで染めることにより行った。その結果、このアポトシスに、新たに、JNK/SAPK依存的なミトコンドリアのパスウェイ、および、PKCα、MST2依存的なERK2のパスウェイが関与していることが判明した。シスプラチンによるアポトシスに関しては、siRNA発現ベクターを導入したときに相乗的にアポトシスを誘導する遺伝子の検索を行った。細胞は、大腸がん細胞HCT116細胞を用い、低濃度のシスプラチンを誘導したときに感受性の増強をクリスタルバイオレット染色による生死判定によって、調べた。その結果、Caspaseのインヒビターと知られているXIAP、HIAP、および、Suvivin、DUSPなどの遺伝子をノックダウンしたとき、シスプラチンによるアポトシスを増強することが分かった。
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