研究課題/領域番号 |
17016024
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤堂 具紀 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (80272566)
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研究分担者 |
稲生 靖 東京大学, 医学部附属病院, 研究拠点形成特任教員 (50372371)
田中 実 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (50332581)
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研究期間 (年度) |
2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
7,800千円 (直接経費: 7,800千円)
2005年度: 7,800千円 (直接経費: 7,800千円)
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キーワード | 癌 / ウイルス / バイオテクノロジー / ゲノム / 遺伝子 |
研究概要 |
本研究は、ウイルスゲノムを遺伝子工学的に改変して、癌細胞で選択的に複製する増殖型単純ヘルペスウイルスI型(HSV-1)ベクターに直接免疫刺激遺伝子を挿入し、ウイルス複製に伴う直接的な殺細胞効果に加え強力な抗腫瘍免疫作用を有する新治療ベクターの研究開発を目的とした。新規に開発した三重欠失変異を有する増殖型HSV-1(T-01)のICP6遺伝子欠失部位に、任意の治療遺伝子を組み込むことのできるHSV-1ベクター作製系(BACシステム)を利用した。このシステムにより、従来遺伝子組換えHSV-1の作製に長期間要していたところを、短期間で容易に作製し、且つ複数の治療遺伝子を挿入することが可能となった。マウスIL-12遺伝子を挿入したT-mfIL12を作製した。HSV-1が腫瘍内で複製することに伴って特異的抗腫瘍免疫を惹起することから、免疫刺激遺伝子を発現する「武装」遺伝子組換えHSV-1は、抗腫瘍効果の増強が期待される。実際、HSV-1に感受性の高いA/Jマウスと、同系で低免疫原性のNeuro2a神経芽腫細胞を用い、皮下腫瘍モデルで効果を検討したところ、両側皮下腫瘍の片側への腫瘍内投与にて、両側いずれの腫瘍に対してもT-mfIL12はT-01に比べ有意に大きな抗腫瘍効果を示した。遠隔腫瘍に対するT-mfIL12の効果発現にはTリンパ球を必要とし、全身性抗腫瘍免疫を介することが判明した。T-mfIL12はまた、静脈内投与でも、皮下腫瘍に対する抗腫瘍効果が確認された。免疫刺激遺伝子発現型の増殖型遺伝子組換えHSV-1は、新たな癌治療のヅールとして高い発展性を有することが示された。抗腫瘍免疫における役割の重要性が認識されてきたサイトカイン等の遺伝子を用いて新たな増殖型治療ベクターを作製することは、作用機序の解明と抗腫瘍効果および安全性の向上の両面において意義が大きい。
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