研究課題
特定領域研究
1)研究をスタートする時点で、二次元クロロフィル蛍光画像解析システムを用いて、シアノバクテリアの蛍光挙動を観察する測定システム自体はほぼ完成していた。シアノバクテリアの変異株はさまざまな研究者によって作成されているが、本研究のように蛍光の微妙な変化を検出するためにはバックグラウンド(変異株の親株)を揃える必要があり、ばらばらの変異株のコレクションでは残念ながら本研究には使用できないことがわかった。京都大学の福澤らによって作成されたトランスポゾンによって遺伝子を破壊したコスミドについて、そのクローン化および、シークエンスによる挿入部位確認作業を進めた。1588のコスミドクローンのシークエンスを行なった結果、1369クローンについて変異部位(トランスポゾン挿入部位)を決定することができた。2)この変異クローンの中で独立な遺伝子を持つものを選抜した1240クローンを遺伝子破壊コンストラクトとしてシアノバクテリアの形質転換を行なった。これにより、843の遺伝子破壊株を得ることができた。3)この遺伝子破壊株のクロロフィル蛍光挙動を測定し、644株について、クロロフィル蛍光データを取得することが出来た。4)網羅的なクロロフィル蛍光測定を進めるにあたって、s111961という遺伝子の破壊株が、光化学系量比調節に関与することが報告されていたpmgA遺伝子の変異株と、極めてよく似たクロロフィル蛍光挙動を示すことに気がつき、このs111961変異株の詳細な解析を進めた結果、この遺伝子も、光化学系量比調節に関与していることを見いだした。この例は、クロロフィル蛍光挙動によって、遺伝子の機能推定が可能であることの1つの証明になったと考えている。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (1件)
Plant Physiology 139
ページ: 408-416