研究概要 |
シロイヌナズナ22Kオリゴアレイを用いて、低温ストレスから回復までの過程の遺伝子発現プロファイル解析を行った。低温ストレス処理または低温ストレスからの回復過程で発現が変動する618個の遺伝子をクラスタリングして発現パターンでグループ分けした。その結果、(1)低温ストレスからの回復過程で発現誘導される遺伝子の多くは、低温ストレス処理で発現が抑制され、また逆に(2)低温ストレスからの回復過程で発現が抑制される遺伝子の多くは、低温ストレス処理で発現が誘導されることが明らかになった。 種々の転写因子(bZIP転写因子のAREB1やNAC転写因子のNST1など)に関して、過剰発現型トランスジェニック植物などをマイクロアレイ解析することにより、転写因子により制御される下流のターゲット遺伝子を同定した。ストレス応答に関与する種々の制御遺伝子(Ser/Thr型プロティンキナーゼのSOS2,カルシュニューリンのβサブユニットをコードするSOS3,WRKYドメインを持つSLH1,ABA誘導性のレセプター型プロティンキナーゼのRPK1など)に関して、遺伝子破壊系統のマイクロアレイ解析を行うなどして制御遺伝子の機能解析を行った。 これまでに同定した約600個のストレス誘導性遺伝子に関して、1kbのプロモーター断片を回収し、プロモーター+LUC、プロモーター+GUSのベクターコンストラクトを作製した。それらコンストラクトを含むトランスジェニック植物の作出を進め、これまでにプロモーター+LUCのT2植物を約200系統作製した。得られたT2系統について、LUC遺伝子の発現解析を進めている。 シロイヌナズナ全ゲノムタイリングアレイを用いた遺伝子発現解析システムの立ち上げも進め、プローブの調製方法などタイリングアレイ実験のプロトコールをほぼ確立した。
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