研究概要 |
ダイズの完全長cDNAライブラリーの19,436クローンについて末端領域塩基配列を決定した。品質の低い配列を削除して、19,103(両端15,019、片端4,084)が解析の対象になった。スプライスバリアントを独立と見なすと独立クローンの数は10,261となり、重複率は46.3%であった。独立クローンについてアノテーションを行なった。ライブラリーの品質が高いことが判明したので、クローンの充実には既存のライブラリーからさらにクローンをピックアップすることで十分に達成できると判断し、新たに2万クローンを単離して末端領域塩基配列を決定した。完全長cDNAクローンの両端塩基配列から設計したプライマーによるPCR産物を制限酵素の組み合わせApaI/RsaI、AluI/HaeIIIで処理後SSCP法で多型解析を行なうため、処理条件、泳動条件を検討した。その結果PCR産物は変性溶液に溶解後、95℃、5分加熱後直ちに氷上に保存すること、多型解析は非変性不連続電気泳動法により、4℃で、200V、7時間行なうことによりよい結果が得られることがわかった。この手法をCAS-SSCP(cleaved amplified sequence-single strand conformation polymorphism)法と名づけた。完全長cDNAの塩基配列から設計したプライマーで増幅産物が得られたもののうち、CAS-SSCP法で約40%が両親間で多型を示した。現在までにマッピング可能な48のマーカーが得られた。ダイズの組換え近交系を用いて、23クローンのマッピングが終了した。またミヤコグサの根粒で強く発現しているcDNAクローン19をRFLP法により同じ組換え近交系を用いてマッピングした。ミヤコグサのオルソログを同定して、今までのマーカーを含めて全体で261の共通マーカーの位置を決定することが出来た。これらのマーカーに基づきミヤコグサを中心にダイズとの比較地図を作製した。今までのシンテニーブロックが伸びたり、新たなブロックが加わった領域があり、比較地図を充実することが出来た。
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