研究課題/領域番号 |
17018035
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
池尾 一穂 国立遺伝学研究所, 生命情報・DDBJ研究センター, 助教授 (20249949)
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研究分担者 |
鈴木 善幸 国立遺伝学研究所, 生命情報・DDBJ研究センター, 助手 (70353430)
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研究期間 (年度) |
2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
2005年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
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キーワード | 遺伝子発現 / 比較ゲノム / 神経系 / FLcDNA / ヒト特異的遺伝子 / 生物多様性 / 分子進化 |
研究概要 |
本研究ではHuman Full-length cDNA Annotation Invitational (H-invitational) databaseとHuman Anatomic Gene Expression Library (H-ANGEL)というヒト全長cDNA統合データベース並びその遺伝子発現データより神経系特異的遺伝子を定義し、255個の神経系特異的遺伝子を同定した。現在利用可能な13種の真核生物の完全ゲノム情報と系統関係を用いてこれら255個の神経系特異的遺伝子の進化的出現時期を推定した結果、255個のうち35個(14%)の神経系特異的遺伝子がヒトと酵母が分岐する以前に出現していたことを見出した。これらは神経系を持たない祖先種において、ヒト神経系特異的遺伝子の祖先型が既に14%も存在し、神経系の進化とともに機能や発現パターンを変化させて神経系特異的遺伝子になったことを示唆する。残り86%の神経系特異的遺伝子は、ヒトと酵母の分岐後、神経系の形成や複雑化とともに出現しており、新しい遺伝子の出現により神経系が進化してきたことが示唆された。特に脊索動物から脊椎動物への進化的段階においては61個の遺伝子が出現しており、実に本研究で調べた全体の24%にあたる神経系特異的遺伝子がこの時期に出現していたことになる。H-invitational databaseの約2万遺伝子のうち同時期に出現したのは全体の10%であり、この24%という割合は有意に高いことを見出した。このことは、この高い割合がこの時期に起きたと考えられているゲノムの四倍化のせいではなく、脊索動物から脊椎動物へと進化するこの時期に、特に多くの神経系特異的遺伝子の出現が必要だったことを示唆するものである。またこの61遺伝子のうち20%がタンパク結合に関わる機能を持っていた。これは、新しい遺伝子の出現により新しい分子間の相互作用が形成され、神経系が進化してきた可能性を示唆する。また、ヒトでのみ存在する神経系特異的遺伝子は39個あったが、その内機能のわかっているものは12個しかなかった。
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