研究課題
特定領域研究
網羅的マイクロサテライト解析でこれまでに心筋梗塞との関連が確認された5座位について、新たなマーカーを設定し関連解析を行った。その結果、3座位について周辺マーカーでも関連が確認された。うち1座位には平滑筋の増殖や分化に関連することが示唆されている遺伝子が存在することから、この遺伝子についてSNP検索とのSNP関連解析を行ったところ、新規に発見したアミノ酸置換を伴う多型が心筋梗塞と有意な関連を示した。この関連は、冠動脈硬化が比較的軽症な群、女性、非喫煙者でより強いため、低リスク集団における感受性遺伝要因であることが示唆された。これとは別の座位では高脂血症を伴う群により強い関連を認めたが、そこには脂質代謝に関連する遺伝子が存在した。昨年度までにBMP10多型と高血圧性心筋症との関連を見出したが、本年度は多型の機能解析を行った結果、BMP10がZ帯に発現すること、Tcapタンパクと結合すること、高血圧性心筋症関連多型はTcap結合性を半減し、細胞外へのBMP10分泌を増加すること、細胞外に分泌されたBMP10はラット心筋初代培養細胞に肥大とサルコメア整合性の促進をもたらした。また、既知の心筋症関連遺伝子との機能連関を指標として新規原因遺伝子の探索を行ったところ、タイチンN2B領域結合タンパクであるCRYAB,FHL2それぞれの遺伝子に心筋症関連変異を見出し、それらの変異でタイチンとの結合性が低下することを明らかにした。難治性不整脈関連変異の機能解析の一環であるコンピューターシミュレーションにより、HCN4は徐脈時の不整脈発生を抑える機能があることが示唆された。一方、ミオシン脱リン酸化酵素サブユニットの解析を行い、平滑筋型スモールサブユニットM20は心筋型スモールサブユニットM21、骨格筋型ラージサブユニットM130と同じ遺伝子からスプライシングの違いによって生じることが判明した。また、M20、M21のいずれもがM130と結合することが判明した。
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