研究課題/領域番号 |
17019023
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
東 健 神戸大学, 医学部, 教授 (60221040)
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研究期間 (年度) |
2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
2005年度: 6,000千円 (直接経費: 6,000千円)
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キーワード | Helicobacter pylori / pathogenicity island / cagA / vacA / 慢性胃炎 / 胃癌 |
研究概要 |
1)H.pyloriの疾患特異的病原遺伝子の解析a)cagPAI遺伝子多型と病態との関連:これまでに我々は日本の胃癌株F32と十二指腸潰瘍株OK107において約40kbのcagPAIの全塩基配列を決定し、既報のイギリスの胃炎由来の26695株及びアメリカの十二指腸潰瘍由来のJ99株と比較したところ、4つの株間のcagPAIの塩基配列は約92%の一致率を示した。cagPAI内の各遺伝子の塩基配列は株間で保たれていたが(一致率約95%)、28個のcagPAI遺伝子の中で、cagAとvirB10において繰り返し配列を認め、それぞれの株間で大きく異なっていた(一致率約85%)。また、cagPAIの全塩基配列を、慢性胃炎株、胃癌由来株、十二指腸潰瘍由来株について計11株、既報の塩基配列を元にPCR-direct sequencingにより決定し、系統樹解析を行ったところ、大きく欧米型と日本型とに分けられた。また、日本型の株での感染において、慢性胃炎の萎縮度が強いことが認められた。b)cagPAI遺伝子の国際的地域差と病態との関連:我々はこれまで、H.pylori株のゲノム解析を無作為に選んだ8個の構造遺伝子について塩基配列を検討したところ、世界の地域による差及び病態による差は認められなかった。一方、病原因子であるcagAや細胞空胞化毒素遺伝子vacAは、世界の地域により大きく異なり、特に、慢性萎縮性胃炎と胃癌の発症が高い、日本、韓国、中国と欧米との違いが認められ、塩基配列による樹系図では、欧米と東アジアとは異なったbranchに位置し、H.pyloriの起源が異なると考えられた。したがって、病原遺伝子に変異が多いと考えられた。また、cagPAI内遺伝子の変異とcagPAI外の遺伝子vacAの変異との関係を検討したところ、cagPAI内のcagAとcagEの樹系図の相関よりも、cagAとcagPAI外のvacAの相関が強く、東アジア型のcagAのゲノタイプでslc/ml型のvacAのゲノタイプが相関していた。したがって、遺伝子変異においても、病原因子の遺伝子の変異は何らかの環境や病態に対する適応が関与すると考えられた。
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