研究概要 |
口唇裂・口蓋裂の原因遺伝子または疾患座位を明らかにすることを目的に研究を行い以下の知見を得た。 1.全ゲノムスキャンアレイCGH法 一卵性双生児での唇裂発症不一致症例6組を対象にしたCGHを行った。その結果、2、8、10、11、19番染色体およびX染色体上の合計10カ所のBACクローンで、2組以上の双生児ペアに共通にしてコピー数の変化が見られる領域を検出した。 2 DNAマイクロアレイによる解析 Affymetrix社GeneChip(Human Mapping 50K array Xba 240)を使用して一卵性双生児6組を対象にしてSNPタイピングを行った。その結果1において示されたような双生児間のコピー数の変化などの違いは検出されなかったが双生児間でSNPタイピングの結果が異なる部位が存在している。連続して不一致SNPが見られるわけではないので、LOH、uniparental disomy等は考えにくい。現在これらを精査している。 3.候補遺伝子アプローチ 日本人集団を対象にRYK(17q21),EPHB2,EPHB3,IRF6(1q32-q41),TGFB3(14q24),TBX22(22q11.21),TBX10(Xq21)CLPTM1(19q13.2-13.2),MSX1(4p16.1-16.2),Activin Receptor Type II(2q22.3-23.1),RARA(17q12),TGF-α(2p13)の変異解析、相関解析、TDTを行った。TGFB3遺伝子において、患者-対照試験でp-値<0.002を得た(劣性効果によるオッズ比=2.3)、また同一SNPを使ってのTDTによりP-値<0.05となり、日本人の口唇裂・口蓋裂の発症にTGFB3遺伝子が関与することを示した。
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