研究課題/領域番号 |
17021008
|
研究種目 |
特定領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
|
研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
山田 勝也 弘前大学, 医学部, 助教授 (40241666)
|
研究期間 (年度) |
2005
|
研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
|
配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2005年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
|
キーワード | 脳・神経 / 生理学 / 循環器・高血圧 / チャネル / 可視化 |
研究概要 |
脳活動を支えるエネルギーは個々の脳領域の活動レベルに応じて局所的に血流が調節されることにより供給される。実際この原理を利用してPETや機能的MRIはヒト高次脳機能の解析に用いられているが、本調節の詳細及び分子機序は明らかでない。本現象の解明にむけて、細胞内代謝レベルを反映して開閉する血管平滑筋型ATP感受性カリウム(K_<ATP>)チャネルのサブユニットKir6.1を欠失させた(KO)マウスを用いた解析を行っている。本年度予想外の展開があった。すなわち血管平滑筋マーカーとして抗αSmooth Muscle Actin(SMA)抗体を用いてイムノブロットを行ったところ、KOマウスの脳は野生型に比しSMA発現量が著しく減少しており、この減少は類縁サブユニットであるKir6.2の欠損マウスでは認められなかった。詳細な免疫組織学的検索により、KOマウスの脳には脳表面の太い動脈はあるが、脳実質に貫入する細動脈、中でも15ミクロン以下の細い細動脈が少ないことが判明した(山田他,日本神経科学大会2005)。この結果はこれまでin vivoで行ってきたレーザードップラー法を用いた血流計測で、KOマウスが短時間ひげ刺激に対し脳血流上昇を示さなかった理由を説明すると同時に、脳実質内部の細い血管の生理的な役割の一端を初めて具体的に示唆したものである。また血管発達へのK_<ATP>チャネルの関与も示唆される。最近SMAは脳毛細血管周囲を取り囲むpericyteにも存在する可能性が示唆された。そこで血管平滑筋型K_<ATP>チャネルの細胞局在の詳細を明らかにすることが今後本現象の解明に必須である。本チャネルにはこれまで有効な抗体がなく、類似構造を持つ膵ベータ細胞型K_<ATP>チャネルとの区別も難しかったが、ごく最近統合脳を通じ強力な共同研究者に恵まれて新たに抗体作成を開始し、現在4回免疫後の採血精製中である。また今後、血管拡張へのK_<ATP>チャネル関与の機序について、急性脳sliceで神経興奮時の血管拡張の精密な可視化を目指し、薬理的手法により解明を試みる。対象血管は3次元的に動き、予想される変化は10ミクロンの数%程度だが、EGFP発現マウスでは血管観察に成功し、来年度夏以降に高速共焦点顕微鏡導入も決定した為、機序の解明にも全力を尽くす。
|