研究課題/領域番号 |
17021009
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
柳川 右千夫 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90202366)
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研究分担者 |
川口 泰雄 自然科学研究機構, 生理学研究所・大脳皮質機能研究系, 教授 (40169694)
平林 真澄 自然科学研究機構, 生理学研究所・脳機能計測センター, 助教授 (20353435)
柿崎 利和 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (50375531)
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研究期間 (年度) |
2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
2005年度: 4,500千円 (直接経費: 4,500千円)
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キーワード | ラット / 抑制性ニューロン / 蛍光蛋白質 / トランスポーター / 二重染色 / 電気生理学的解析 |
研究概要 |
脳は、興奮性と抑制性のニューロンで構成される神経ネットワークの集まりからできている。しかしながら、興奮性ニューロン(神経伝達物質としてグルタミン酸を放出する)と抑制性ニューロン(神経伝達物質としてGABAあるいはグリシンを放出する)の両者とも生のスライス標本や組織切片で正確に同定することは、一般に困難である。また、ラットは生理学や解剖学で使用される実験動物であり、これまでのデータの蓄積がある。そこで、興奮性ニューロンと抑制性ニューロンが識別できる遺伝子改変ラットの開発を目指した。最初に、抑制性ニューロンを蛍光分子で標識したトランスジェニックラットの作成・解析を行った。 抑制性ニューロンに特異的発現する小胞型GABAトランスポーター(VGAT)遺伝子を含む大腸菌人工染色体(BAC)クローンと蛍光蛋白質、Venusの遺伝子を利用して、トランスジェニックラット(VGAT-Venusラット)を2系統(系統Aと系統B)樹立した。大脳皮質でVenus分子の発現を観察した結果、抑制性ニューロンのGABAニューロンに特徴的な小型の細胞が散在性に認められた。さらに、大脳皮質GABAニューロン全体に対するVenus発現細胞の割合について、Venusの蛍光と抗GABA抗体による2重染色を用いて検討した。その結果、2系統ともに、GABAとVenusの発現が殆ど一致した。系統Aのヘテロ接合体ラットの大脳および小脳のGABA含量について野生型ラットと比較した結果、VGAT-Venusラット系統Aの大脳および小脳のGABA含量は、野生型ラットのGABA含量と同程度であり、有意差はなかった。VGAT-Venusラット系統A、大脳皮質のVenus陽性細胞からホールセル記録を行った結果、GABAニューロンに特徴的なfast-spiking等の発火パターンを観察した。以上の結果は、ラットの大脳皮質や小脳皮質におけるGABAニューロンの組織学的解析や電気生理学的解析にVGAT-Venusラットが有用であることを示唆する。今後は、VGAT-Venusラットを用いて、脳の他の領域の抑制性ニューロンについても解析する。
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