研究課題
特定領域研究
P型Ca^<2+>チャネルをコードするCav2.1(α_<1A>)に変異が入り、ヒトに於いてEpisodic Ataxia2(EA2)、家族性片麻痺性偏頭痛、遺伝性脊髄小脳変性症(SCA6)等の中枢神経疾患が引き起こされる。我々は運動失調症を呈するtottering(tg)、leaner(tg^<la>)及びrolling Nagoya(tg^<rol>)マウスもα_<1A>サブユニットに変異があり、プルキンエ細胞のP型Ca^<2+>チャネルの活性が低下していることを明らかにした。本申請研究では、劣性遺伝性運動失調と欠神発作を示すtottering^<4J>(tg^<4J>)と半優性遺伝性運動失調を示すtottering^<5J>(tg^<5J>)の2種類の病態マウスを新たに入手しα_<1A>サブユニットに変位部位を同定し、チャネルの機能解析をパッチクランプ法を用いて行った。まず、α_<1A>サブユニットに変異を導入しα_2/δとβ_4を安定発現させたBHK細胞に強制発現させた。電流量及び電流密度は2種類の変異チャネルと正常チャネルで有意の差が無かった。しかし、tg^<4J>が50%活性化される膜電位(V_<0.5>)はtg^<la>やtg^<rol>同様に正常チャネルと比べて約7mV脱分極側に移動した。一方、tg^<5J>のV_<0.5>は約13mV過分極側に移動した。しかし、逆転電位は変化しなかった。以上のデータより、これら2種類の変異はチャネルのイオン透過性に影響を与えないが、ゲーティングに影響を与えていることが判明した。つまり、tg^<4J>チャネルが開口し難くなっているのに対し、tg^<5J>チャネルが開口し易くなっていることが判明した。今回のマウスを含めて我々が今まで解析してきたα_<1A>サブユニットに変異を持つ運動失調マウスtg、tg^<la>、tg^<rol>、tg^<4J>は全て劣性遺伝でありCa^<2+>チャネル活性が低下している(Loss of Function)のに対し、tg^<5J>マウスは唯一の優性遺伝性病態マウスでありCa^<2+>チャネル活性が亢進している(Gain of Function)ことが運動失調に繋がっている可能性が強く示唆された。
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Purinergic Signalling in press
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