研究概要 |
大脳皮質の柱状構造は、情報処理の単位モジュールと考えられており、各層の細胞は情報の入力、演算、出力などそれぞれ異なった役割を持っている。柱状構造内での、情報入力から出力に至る一連の流れを解明することで、大脳皮質における情報処理の基本原理を解明できると考えられるが、その詳細はまだ明らかになっていない。このような柱状構造内での縦方向の情報処理や、各層の細胞の役割について明らかにするため、1から6層までの各層の神経活動を独立かつ同時に記録可能な直列型多点微小電極の開発を行った。 電極は半導体製造技術およびマイクロマシン製造技術によって製作した。電極製作の技術指導を、研究分担者の山川研究室が担当、電極の設計・製作は研究代表者の花沢研究室が担当した。開発プロセスは主に以下のような4段階を繰り返し行った。1)CADによる電極形状・配線デザインおよびフォトマスク作成。2)シリコンウェハ電極形状成形。3)電極配線成形。4)作成物の観察、問題点の検討。電極形状成形はシリコンウェハの異方性エッチングにより行った。電極のサイズは、それぞれ長さ3,2,1cm、幅300,200,100μmである。現在、形状および配線成形のための技術はほぼ確立し、接点部分の製作を課題として取り組んでいる。今後、齧歯類を用いた性能テストの後、マカクサル大脳皮質視覚関連領野において、柱状構造内の情報処理を明らかにするための生理実験を行う。
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