研究課題/領域番号 |
17022002
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
澤口 俊之 北大, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00183830)
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研究分担者 |
和島 佳世 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助手 (60419950)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
28,200千円 (直接経費: 28,200千円)
2006年度: 13,400千円 (直接経費: 13,400千円)
2005年度: 14,800千円 (直接経費: 14,800千円)
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キーワード | 脳・神経 / 前頭前皮質 / モノアミン |
研究概要 |
本研究の目的は、前頭前皮質(PFC)の中心的機能(オペレーティングシステム)の諸過程((1)状況に応じた入力情報の選択、(2)入力された情報の保持および状況に応じた適切な行動制御情報への変換、(3)行動の結果を含む状況の把握と、これに基づいた入力選択・行動変換規則の更新)におけるニューロン機構とモノアミンの役割の解明である。今年度は、上記(2)に焦点を当てた。 PFCは、状況に応じた適切な行動制御に重要な役割を果たすが、目的志向的行動を導くための情動と認知の統合過程についてはほとんどわかっていない。そこで、「PFCは価値判断に基づいた行動決定を担う」との仮説をたて、PFCの担う、感覚情報の記憶、行動決定、運動準備といった諸過程に報酬などの誘因が与える影響を調べた。 まず、行動課題として、「遅延アンチサッカード課題」を考案し、課題遂行中のサルの背外側PFCからニューロン活動を記録した。この課題では、遅延の途中で行動ルールを提示することにより、手がかり刺激位置(感覚記憶)とサッカード方向(運動準備)を分離した。ニューロン活動の記録・解析の結果、一部のPFCニューロンは、行動ルールの提示後すぐに活動を変化させ、手がかり刺激位置とサッカード方向の両方の情報を再現することがわかった。これらのニューロンは感覚から運動へと、ルールに応じて記憶情報をシフトさせることから、行動決定にかかわるのかもしれない。 更に、上記課題に大、小の報酬条件を導入し、報酬条件ごとにニューロン活動を記録した。その結果、報酬期待は手がかり刺激位置を再現するニューロン活動を増強し、サッカード方向を再現するニューロン活動にほとんど影響を与えなかった。報酬期待は行動決定に使用される記憶に影響を与えるが、行動決定後の運動準備には影響しないことから、PFCの担う情動と認知の統合は、行動価値の判断とそれに基づく意思決定であると示唆される。
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