研究課題/領域番号 |
17022010
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
吉田 薫 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (50111373)
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研究期間 (年度) |
2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2005年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 眼振 / 緩徐相 / 急速相 / サッケード / グリシン / GABA / 阻害薬 / 電気泳動的投与 |
研究概要 |
片側迷路を破壊すると、左右の前庭神経核のニューロン活動の均衡が破れ、強い眼振が出現する。しかし左右の均衡は次第に回復し、眼振の頻度も急速に減少して数日後には消失する。この代償性変化は神経損傷後の機能回復のモデルとして関心を集め、前庭-眼球運動系の学習と可塑的調節を担う小脳からの抑制の関与が示唆されている。本研究では、眼振の緩徐相に発現に係る前庭神経核ニューロンへの抑制入力の寄与をラットを用いて調べた。前庭神経核からマルチバレル電極を用いてニューロン活動を記録し、GABA受容体阻害薬(ビククリン)およびグリシン受容体の阻害薬(ストリキニン)を電気泳動的に投与しその効果を調べた。半規管入力を受けるI型二次ニューロンの多くは、ビククリン投与により自発活動の増加を示し、持続的なGABA性抑制を受けることが示された。また、頭部回転刺激に対する応答のゲインが有為に増加したことから、この抑制が前庭情報をコードし、小脳を介することが示唆された。上記の研究と平行して、眼振急速相とサッケードの運動指令をコードする網様体のバーストニューロンへの抑制入力の役割をネコを用いて調べた。通常バーストニューロンは注視期には全く活動を示さないが、投与後は自発活動が出現し、強い視覚性の興奮応答を示した。上丘刺激により単シナプス性興奮が誘発されたことから、視覚入力が上丘に由来することが示唆された。また、サッケード時のバーストに先行する活動とバーストに続く長い活動を認め、オフ方向のサッケードでも活動を示すようになった。以上の結果から、抑制入力は、不要な感覚性の興奮入力の作用を抑え注視期に眼球が動くのを防ぐとともに、運動指令の方向選択性を高め、サッケードの開始と終止を決定する重要な役割を果たすことが明らかになった。
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