研究課題
特定領域研究
脊椎動物の神経発生において、神経幹細胞は非対称分裂をおこない、自己複製をしながら分化したニューロンを生み出すと考えられているが、分化を制御する細胞内因子が不等分配される例はNumbが唯一知られている。申請者のこれまでの研究から、Numbは中間径繊維蛋白質であるTransitinへ直接結合することにより、分裂期の初めに基底膜側に非対称に局在していることがわかっている。さらに、内在性のTransitinやNumbの局在を詳細に調べ、Transitin-GFPの動態をタイムラプス観察した結果、基底膜側に局在したNumb/Transitin複合体は、およそ2/3の分裂で細胞の側方に移動して片方の娘細胞に不等分配され、残りの場合では移動が起こらずに等分配されることがわかった。また、Transitinに対するRNAiによってNumbの非対称な局在が失われ、増殖抑制とニューロン分化の促進が観察された。さらに、免疫染色やTransitin-GFPの側方輸送に対する薬剤処理の効果を調べた結果から、Transitin/Numbは細胞表層のアクチン骨格にアンカーされ、ミオシン2によって基底膜側から側方に輸送されていると考えられた。また、アクチン結合蛋白質であるFilaminBが神経上皮細胞の頂端側に局在することを発見し、FilaminBが神経上皮細胞の極性形成やアクチン骨格の動態の制御に関わっている可能性が示唆された。
すべて 2005
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