研究課題/領域番号 |
17024014
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
飯野 雄一 東京大学, 遺伝子実験施設, 助教授 (40192471)
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研究分担者 |
國友 博文 東京大学, 遺伝子実験施設, 助手 (20302812)
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研究期間 (年度) |
2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
2005年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
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キーワード | 線虫 / G蛋白質 / ベンズアルデヒド / 嗅覚順応 / ジアシルグリセロール / Go / Gq / ジアシルグリセロールキナーゼ |
研究概要 |
本研究は、体制が単純で解析のしやすいモデル動物、線虫C.elegansを用い、神経可塑性の新規の分子機構を発見することを目的とした。線虫は特定の水溶性物質や匂い物質に対して近寄る、あるいは遠ざかる行動を示す(化学走性行動)。しかし、線虫が好む匂い物質であっても、その匂い物質に曝され続けるとこれに誘引されにくくなり、場合によっては匂いから逃げるようになる。この現象を嗅覚順応と呼ぶ。哺乳類で脳に多く発現するGoタイプのG蛋白質のαサブユニットの唯一の線虫ホモログをコードするgoa-1の変異体を調べた。すると、AWC感覚神経で受容されるベンズアルデヒドなどの匂い物質に関して、goa-1変異体は顕著な嗅覚順応の欠損を示した。一方、Gqαのホモログをコードするegl-30の活性化型変異体でも嗅覚順応の欠損がみられた。細胞特異的プロモーターを用いた発現実験により、これらいずれのG蛋白質も、嗅覚神経AWCで働くことがわかった。逆に、Goの活性化型変異体をAWC神経に発現させると、順応を誘導しなくても化学走性が低下していた。このことから、Goが正に、Gqが負に嗅覚順応を制御することが示唆された。一般的にGqの下流ではホスホリパーゼCが働きジアシルグリセロールDAGが産生される。そこでDAGアナログを添加すると、嗅覚順応が阻害された。さらに、DAGを代謝する酵素、ジアシルグリセロールキナーゼDGKの変異体を調べたところ、dgk-1とdgk-3の二重変異体で嗅覚順応の欠損が見られた。従ってDAGが嗅覚順応に機能していることが推定された。活性化型GOA-1と活性化型EGL-30を同時にAWC神経で発現させたところ、EGL-30単独のときと同様の順応欠損がみられた。このことからGOA-1 GoはEGL-30 Gqの上流で働くことが示唆された。
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