研究課題
特定領域研究
カテコールアミン生合成律速酵素であるチロシン水酸化酵素(TH)遺伝子のイントロン5とイントロン9にloxP配列を挿入したマウス(floxed THマウス)の脳内黒質に、DNA組換え酵素Creを発現するアデノ随伴ウイルス(AAV-Cre)をマイクロインジェクションした。この方法により、成獣マウスにおいて特定の遺伝子のみを特定のニューロンで破壊することができ、脳の高次機能の解析や代謝調節機構の解析に重要なツールとなる。AAV-Creをfloxed THマウスの黒質に投与して14日後にマウスの脳を取り出し、抗TH抗体と抗芳香族アミノ酸脱炭酸酵素(AADC)抗体で染色した。検出は蛍光標識した2次抗体を用いた。その結果、AAV-Creを投与した周囲の細胞でTHに対する免疫染色性が低下していることがわかった。この時、AADCに対する反応性は変化していなかった。次に、経時的な変化を調べるために、AAV-Creを投与してから3日後、7日後、14日後、および、28日後における黒質のTH免疫反応性の変化を調べた。3日後においてはほとんどの細胞がTHとAADCの両者に対して反応し、それらがTHとAADCの両者を発現しているドーパミンニューロンであると考えられた。7日後ではTH陰性でAADC陽性の細胞が散見するようになり、さらに14日後ではこのような細胞の数が増えていた。また、28日後ではほとんどの細胞がTH陰性となりTHの遺伝子をCre-loxシステムにより破壊した結果、THタンパク質が特異的に減少することを示した。以上のように、floxed THマウスにAAV-Creを投与することにより、部位特異的・時期特異的TH破壊マウスを作製することに成功した。今後この手法を用いて、脳高次機能におけるドーパミンニューロンの役割を解明していく。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (7件)
JOURNAL OF BIOCHEMISTRY 139(in press)
10018845291
CLINICAL NEUROLOGY AND NEUROSURGERY (in press)
MOLECULAR THERAPY 13・1
ページ: 160-166
Journal of Neurochemistry 95
ページ: 563-569
ページ: 703-714
MOVEMENT DISORDERS 20
ページ: 1083-1084
JOURNAL OF NEUROSCIENCE RESEARCH 81
ページ: 874-882