研究課題
特定領域研究
セプチンサブユニットSept4の特異的な時空間的発現パターン(JCN 2000で報告済)に基づいてSept4遺伝子欠損マウスを作成し、組織学的解析と網羅的行動スクリーニングによって脳構築および脳機能の障害を探索した。その結果、幼若期の運動学習と成熟後の音刺激に対する驚愕反応のプレパルス抑制の2つのパラダイムで異常を見出した。そこで行動薬理学・組織学・電子顕微鏡学・細胞生物学・生化学的手法を用いた検討を重ねることにより、小脳発達過程におけるプルキンエ細胞や顆粒細胞に対するバーグマングリア細胞のニッシェ機能と黒質・線条体ドパミン系の高次生理機能におけるセプチン・スカフォールド系の重要性を発見・確立した(いずれも投稿中)。また、当該分野の主旨からは外れるが、本研究から医学・生物学的に重要な知見が派生したので付記する。本マウスが予想外の雄性不妊を呈することが判明したため、精子鞭毛内の輪状小体がセプチンの環状高次集合体(セプチンリング)であり、その破綻によって生殖機能を失うこともわかった。同時にヒトの精子無力症検体でもセプチンリングの破綻を認め、セプチン細胞骨格の臨床的意義を発見した(Dev Cell 2005)。以上のような研究の進展に基づいて、細胞生物学分野でセプチン系を再定義する総説を発表した(Curr Opin Cell Biol 2006)。
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生化学 (印刷中)
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