研究課題/領域番号 |
17024031
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
川口 真也 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00378530)
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研究期間 (年度) |
2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2005年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | 小脳 / シナプス可塑性 / 抑制性シナプス / GABA(A)受容体 / インテグリン / Src |
研究概要 |
小脳の抑制性介在ニューロンがプルキンエ細胞に形成するGABA性シナプスにおいて、プルキンエ細胞の脱分極によりGABA(A)受容体を介する応答が長時間増強することが報告されている。この脱分極依存性増強の誘導に細胞接着分子の一種であるインテグリンが関与することを示し、その分子機構を明らかにすることが本課題の当初の目的であった。本研究により、インテグリンを活性化させると、脱分極依存性増強の誘導が抑えられてしまうことが分かった。このインテグリン活性化による増強誘導を阻害する効果は、インテグリンα3およびβ1サブユニットに対する機能阻害抗体により消失した。また、インテグリンα3サブユニットをプルキンエ細胞に遺伝子導入して過剰発現させると、脱分極依存性増強が抑えられてしまうことが分かった。これらの結果から、インテグリンα3β1が脱分極依存性増強誘導を負に調節することが明らかになった。また、インテグリンはチロシンリン酸化酵素Srcを介して脱分極依存性増強を抑えることも分かった(Kawaguchi & Hirano, 2006)。さらに、神経活動によりプルキンエ細胞が脱分極すると同時にGABA(B)受容体が活性化すると、以後96時間以上にわたり脱分極依存性増強が起こらなくなることを見出した。この脱分極依存性増強の長期抑制は、MAPK活性に依存して新規にmRNAが合成されることで、インテグリンα3サブユニットのタンパク質量が増加することによると考えられる結果を得た。以上より、プルキンエ細胞上の抑制性シナプスにおける脱分極依存性増強はインテグリン/Srcにより負に調節されることが示されたとともに、あるパターンの神経活動によりインテグリンの量が長時間増加して、それが脱分極依存性増強の誘導を長時間抑制するというユニークな分子機構が明らかになった。
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