研究概要 |
(1)FKBP38ノックアウトマウスの形態異常の詳細な観察 FKBP38ノックアウトマウス胎児の脳や脊髄において顕著な形態異常を見出した。脳においては、medial cortexが短縮し、dorsal cortexとmedial cortexが複雑に重なり合って、thalamusが前方に入り込んだようになっていた。また、LGEとMGEが一様化していた。脊髄においては、canalが拡張しており、DRGが小さい、または消失していた。また、細胞が凝集したような細胞構築の異常な部位が各所に認められた。本研究では、これらの異常がどのような機序で発症したのか解析した。 (2)FKBP38ノックアウトマウスにおける領域形成関連分子の発現パターンの解析 FKBP38ノックアウトマウスにおいてさまざまな領域形成関連分子の発現パターンを調べることにより、異常発症の原因を推測した。Shh, Wnt, BMP, Pax6,Gli3,Mash1,Ilet1, calretininなどの主要な因子に関して、in situ hybridizationによるmRNAレベルでの発現パターン、またはimmunohistochemistryによるタンパク質レベルでの発現パターンについて調べた。 (3)FKBP38とその結合分子との機能的連関の解析 FKBP38結合分子を、yeast two hybrid screening及び哺乳類細胞株内でのpull-down assayにより探索、同定した。FKBP38ノックアウトマウスにおいて、それら結合分子について、どのような分子機構で関係しあっているのか調べた。FKBP38は分子シャペロンであるのでタンパク質レベルでの相互関係を解析した。それぞれのリコンビナントタンパク質を作製し、細胞内、または試験管内の実験系において、結合、細胞内局在変化、翻訳後修飾について調べた。翻訳後修飾についてはタンパク質安定性、リン酸化、ユビキチン化などについて解析した。
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