研究課題
特定領域研究
我々は、ATP受容体チャネルP2X_2のポアのイオン選択性等の性質が、細胞膜上での発現密度に依存して劇的に変化することを先に報告した。この知見は、発現状況とATPに依存してP2X_2受容体チャネルに著しい構造変化が起こることを示唆するが、現時点でP2X_2受容体チャネルの構造は全く明らかにされていない。P2X_2の構造とその状況依存的変化を知るというゴールに向けて、我々は、P2X_2蛋白のレコンビナント精製と単一粒子構造解析を行った。まず、P2X_2のN-もしくはC-末端にFLAG tagを付加したコンストラクトを作成し、ツメガエル卵母細胞を用いた電気生理学的解析により、正常な機能を持つことを確認した。その後、cDNAをバキュロウイルスベクターに組み込み、昆虫細胞Sf9に感染させ、免疫細胞化学的に細胞膜上での蛋白発現を確認した。大量スケールでの感染Sf9細胞を回収し、膜画分を50mM dodecyl-beta-maltosideを含む溶液で可溶化し、FLAG抗体を含むゲルによりアフィニティ精製した。SDS-PAGEの銀染色により単一のmajor bandを確認した後、ゲル濾過により精製した。その精製産物を用い、グルタルアルデヒドで架橋後、non-denatureゲルにて電気泳動したところ、主たるバンドのサイズからP2X_2蛋白が3量体であることが示された。さらに、ATP投与後、同様な実験を行うと3量体のバンドが上方にシフトした。このシフトは、GTPやアデノシンの投与や、架橋後のATP投与によっては見られなかったため、リガンド結合により、易動度が変わるような構造変化が起こることが示唆された。精製産物のピーク分画を用い、酢酸ウランにより負染色して電顕撮影したところ、単一蛋白粒子像が観察された。単粒子構造解析の手法により、P2X_2蛋白が3量体であることが確認され、また、大きな細胞外領域を持つ逆ピラミッド状の構造をしていることが明らかになった。
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