研究課題
特定領域研究
【目的】小胞体は、細胞内カルシウム濃度調節・蛋白質の修飾により細胞機能を維持していることが知られていたが、最近、"小胞体ストレス"と呼ばれるストレス応答シグナルの発信器官としての重要性が示されている。また、小胞体ストレスによる細胞死の経路は、疾患(癌、糖尿病、神経変性症)の病態との関係からも注目されている。以上より、細胞レベルでゲノムワイドに小胞体ストレスシグナル経路の制御分子を探索・同定することにより、神経変性疾患、特にアルツハイマー病の治療薬開発の基盤となる知見を得ることが可能となると考えられる。本研究では、特に、小胞体ストレスシグナル分子によるガンマ-セクレターゼ活性の制御機構を解明した。また、スモールプール脳cDNAライブラリから小胞体ストレスシグナルの制御因子、特にガンマ-セクレターゼ活性制御因子の同定法を確立した。【研究実績】1.ガンマ-セクレターゼ活性制御因子の同定:転写因子ATF4によるプレセニリン-1蛋白質の発現増加・成熟化を明らかにした。2.1の機構は、小胞体ストレスシグナルのみならずアミノ酸飢餓(ロイシン・リシン欠乏)によるGCN2キナーゼ活性化によるシグナルにても誘導されることを明らかにした。3.2の機構により、ガンマ-セクレターゼが活性化されることをアミロイド-β産生とNotchシグナルのターゲット遺伝子発現上昇から明らかにした。4.ATF4結合領域の同定:ヒトプレセニリン-1遺伝子発現調節領域におけるATF4結合領域をChip-IT法、ゲルシフト法、ルシフェラーゼ法にて明らかにした。5.4のルシフェラーゼ法に使用したキメラ遺伝子をスクリーニング用プローブとして構築した。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (4件)
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