研究課題/領域番号 |
17028035
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
永井 義隆 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (60335354)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
12,200千円 (直接経費: 12,200千円)
2006年度: 6,100千円 (直接経費: 6,100千円)
2005年度: 6,100千円 (直接経費: 6,100千円)
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キーワード | 遺伝子 / 神経科学 / 蛋白質 / 脳神経疾患 / 治療 / 神経変性疾患 / ポリグルタミン病 / アミロイド |
研究概要 |
ポリグルタミン(PolyQ)病はハンチントン病、種々の脊髄小脳変性症などを含む一群の難治性神経変性疾患の総称で、原因蛋白質内の異常伸長PolyQ鎖が異常コンフォメーション変移を獲得し、難溶性凝集体の形成を含む異常蛋白質間相互作用などにより神経変性を引き起こすと考えられている。我々はこれまでに異常伸長PolyQ鎖結合ペプチドQBP1がin vitroで異常伸長PolyQ蛋白質の凝集体形成を阻害し、培養細胞およびショウジョウバエモデルにおいて細胞毒性・神経変性を抑制することを明らかにしてきた。 本研究では1.異常伸長PolyQ蛋白質の凝集体形成に至る構造変化を明らかにして毒性構造体を特定し、さらにQBP1の作用点を解明することを目的とし、生化学的・構造生物学的解析を行った。その結果、異常伸長PolyQ蛋白質はモノマーの状態でβシートヘのコンフォメーション変移を経て、オリゴマーさらにアミロイド線維状凝集体へと重合することを明らかにし、オリゴマーのみならずβシート変移した中間体モノマーも細胞毒性を発揮することを明らかにした。さらにQBP1が異常伸長PolyQ蛋白質のβシートへ変移を阻害することで凝集体形成・細胞毒性を阻害することを明らかにした。 また2.PolyQ病の発症分子機構に基づいた薬物治療を目指して、これまでにPolyQ凝集阻害低分子化合物のハイスループットスクリーニング(約45,000化合物)から新規PolyQ凝集阻害化合物99種類を同定している。これらの1次ヒット化合物について、2次スクリーニングとしてPolyQ病モデルショウジョウバエに対する治療効果を検討し、封入体形成・複眼変性を有意に抑制するPolyQ凝集阻害化合物QAI1、QAI2を同定した。 以上の結果から、PolyQ病の治療標的として異常伸長PolyQ蛋白質のβシートヘの毒性コンフォメーション変移が重要であることが明らかになった。また、薬物治療確立を目指して新規のPolyQ凝集阻害化合物を同定しており、これらはPolyQ病治療薬のリード化合物として期待される。
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