研究課題
特定領域研究
細胞内における主要なたんぱく質分解酵素であるプロテアソームの分子集合機構の解明に成功した。プロテアソームは、標的たんぱく質を分解するための目印となるユビキチンと連携して、多様な生体反応を迅速に、順序よく、一過的にかつ一方向に決定する合理的な細胞内装置として生命活動に必須な役割を果たしている。プロテアソームは、分子量250万、総サブユニット数約100個から構成された生命科学史上もっとも巨大で複雑な酵素複合体であるが、この複合体がどのようにして形成されるか、は全く不明であった。前年度にプロテアソームの分子集合反応を促進する新しい分子シャペロンとしてPAC1/PAC2(Proteasome Assembling Chaperone)複合体を発見したのに引き続いて、本年度はさらに新規のシャペロン分子PAC3を発見し、プロテアソーム形成の分子機構のさらなる解明に成功した(Mol Cell, 2006)。この他にも新しいプロテアソームのサブユニットRpn13を発見し、それがプロテアソームに結合することが知られていた脱ユビキチン化酵素UCH37の受容体活仮性の発揮に必須であることを明らかにした(EMBO J, 2006)。本研究は、基礎的な学術的成果に止まらず、細胞内たんぱく質分解の異常によって発症する病気の解明に大きく貢献することが期待される。すなわち、本研究課題の発展は、ヒトの健康と長寿を守る科学に大きく成長する可能性が期待される。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (3件)
Molecular Cell 24・6
ページ: 977-984
EMBO Journal 25・19
ページ: 4524-4536
Nature 437・7063
ページ: 1381-1385