研究課題
特定領域研究
1.触媒部のペリフェラル配位子の最適化による、これまで報告された中で、最高の二酸化炭素還元効率を示す可視光駆動超分子錯体光触媒の開発超分子のレニウム錯体部分のペリフェラル配位子を、種々変えた錯体を合成し、その光触媒特性を調べた。いずれの超分子錯体も、CO2をCOへと選択的に還元する光触媒機能を示した。しかし、その量子収率およびターンオーバー数は、ペリフェラル配位子の種類に大きく依存した。特に、亜リン酸トリエチルを配位子とする錯体の光触媒特性は優れており、CO生成の量子収率は0.21と、これまで報告された可視光で駆動する均一系光触媒で最高の効率を示した。反応機構を詳細に検討した結果、いずれの錯体を用いた場合も、反応初期に配位子の脱離が起こり、溶媒が代わりに配位した溶媒錯体が真の光触媒として働いていることが分かった。ところが、溶液中に放出されたピリジン分子や塩化物イオンが、光触媒反応を阻害もしくは超分子錯体の分解を加速するために、そのような悪影響を与えない亜リン酸トリエチルが配位した超分子錯体が優れた光触媒能を示すことが分かった。2.電子移動を駆動する光増感錯体部と、触媒錯体部の連結距離の制御レドックス光増感作用を示すRu(II)錯体部と触媒として働くRe(I)錯体部の距離を、架橋配位子上のアルキル鎖長を変えることで、変化させ、その光触媒特性に与える効果を調べている。現在までに得られた結果から、アルキル鎖長が短い時(n=0-2)は、錯体間の距離が短いほど反応の効率が高いことが示された。しかし、nが3および4とアルキル鎖長が長くなると、CO生成速度にほとんど変化は認められなかった。この知見と、1で述べたペリフェラル配位子の最適化の結果を組み合わせることで、CO2を還元する光触媒機能のさらなる向上が期待できる。3.ギ酸や水素を選択的に与える新規超分子光触媒の開発ルテニウム(II)ビスカルボニル錯体を触媒部に導入したルテニウム3核錯体を新規に合成した。この超分子錯体は、CO2をギ酸へ選択的に還元する光触媒機能を持つことが分かった。その量子収率は0.05で、ターンオーバー数は250を超える。また、さらに触媒部としてレニウムビスカルボニル錯体を導入した超分子錯体が、水素発生の光触媒として働くことを見出した。
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