研究課題/領域番号 |
17029063
|
研究種目 |
特定領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
松本 和子 早稲田大, 理工学術院, 教授 (60111457)
|
研究分担者 |
植村 一広 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (60386638)
|
研究期間 (年度) |
2005 – 2006
|
研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
|
配分額 *注記 |
4,600千円 (直接経費: 4,600千円)
2006年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2005年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
|
キーワード | 金属錯体化学 / 結晶構造 / 電子状態 |
研究概要 |
白金とロジウムの異種金属が織り成す、混合原子価一次元鎖の合成と単結晶構造解析に成功した。この一次元鎖は、金属がPt-Rh-Pt-Pt-Pt-Pt-Rh-Ptの順に一次元状に並んだ八核錯体を形成しており、さらに、八核錯体同士をCl^-が架橋することで無限一次元鎖化していた。単結晶構造解析より、八核金属部位の合計酸化数は19+であり、1つの不対スピンを有することがわかった。この常磁性一次元鎖のESR測定の結果、2に近いg値とブロードな線幅を観測した。観測不対スピンのスピン軌道相互作用が小さいことを考慮すると、不対電子はRh dxy軌道に存在すると考えられる。さらに、スペクトルがブロードな理由は、隣接ロジウム間を高速にホッピング運動しているためである。つまり、金属酸化状態は-Pt(3+)-Rh(2.5+)-Pt(2+)-Pt(2+)-Pt(2+)-Pt(2+)-Rh(2.5+)-Pt(3+)-であり、帯磁率とXPS測定の結果もこれを支持している。さらに、極低温から常温までの、温度可変ESR測定をした結果、g値は常に2に近い値をとったが、スペクトルの線幅は、温度に依存して顕著に変化した。一次元鎖の1つは、線幅が7.9K付近で、最もブロードになった。ホッピング運動は、温度上昇とともに、高速化すると考えられる。つまり、7.9K付近で、ESRタイムスケールと合致し、不対電子は隣接ロジウム間を1秒あたり億オーダー回往復することがわかった。
|