研究課題/領域番号 |
17030001
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
郡司 修一 山形大学, 理学部, 助教授 (70241685)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
5,600千円 (直接経費: 5,600千円)
2006年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
2005年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
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キーワード | 硬X線 / 偏光度検出器 / カニ星雲 / PHENEX / 気球 / 偏光 / かに星雲 / シンチレーター / MAPMT |
研究概要 |
X線/硬X線天文学は、エネルギー、時間、イメージの観測により、大きく発達してきた。しかしながら、偏光の観測は30年前に行われて以来、ほとんど観測が行われていない。特に硬X線領域での観測は大きく立ち後れているのが現状である。それはひとえに検出器開発が困難だからである。しかしながら、偏光観測が実現できれば天体の幾何学的な構造や磁場構造、パルサーやブラックホールのエネルギー輻射メカニズムを研究する上で大いに役立つ。特に硬X線領域での観測であれば、気球での観測が可能であり、非常に安価に実験を行うことができる。そこで我々は硬X線領域に高い感度を持つ偏光度検出器の開発を行った。この検出器をPHENEX(Polarimetry for High ENErgy X rays)と呼ぶ。PHENEXはユニットカウンターと呼ばれる偏光度検出器を複数台並べたものであり、ユニットカウンターは80keVで偏光解析能力53%、検出効率20%と世界最高レベルの性能を持つ検出器である。そして2006年6月に、ユニットカウンターを4台積んだPHENEX検出器を気球に搭載して超新星残骸であるカニ星雲のプレリミナリーな偏光観測を行った。日本時間の5時13分に岩手県三陸町から打ち上げられた検出器は、打ち上げ後2時間半程度で上空37.5kmに到達し、6時間15分のレベルフライトを行った。この間検出器本体は正常に動作したが、残念ながら方向制御のトラブルにより、カニ星雲を正確に追尾することはできなかった。しかし、それでも約1時間のカニ星雲の観測と1時間のバックグランドを実現することができた。観測終了後は検出器を海に落下させて回収を行った。検出器に積まれていたデータを解析したところ、検出器がカニ星雲からの信号を10σ以上で検出していた事が確認できた。また偏光解析を行った結果、統計的には不十分ではあるものの偏光を示すモジュレーションらしきパターンも観測された。今後有効面積を増やし、方向制御をフィックスすれば、カニ星雲やCygnus X-1の偏光観測も十分可能であるという事が分かった。
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