研究課題/領域番号 |
17030004
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
柴田 大 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (80252576)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2006年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2005年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 一般相対論 / 重力崩壊 / ブラックホール / ガンマ線バースト / 数値相対論 |
研究概要 |
ガンマ線バーストは長年未知の天体現象であったが、最近の多波長観測の結果、そのうちの少なくともいくつかは、遠方宇宙で発生する大質量星の重力崩壊の結果起こることが明らかになった。その最も有力なシナリオは、大質量星の重力崩壊に伴ってブラックホールと高温かつ高密度の降着円盤が誕生した後に、降着円盤から高エネルギーニュートリノ放射およびニュートリノ対消滅が起こり、ガンマ線と電子陽電子からなる火の玉を作るとするものである。しかしながら、このシナリオ通り重力崩壊に伴ってブラックホールと高温高密度の降着円盤が誕生することは理論的に解明されていない。これを解明するには、現実的な状態方程式や物理素過程を考慮しながら、空間多次元の一般相対論的な数値シミュレーションを行うことが要求されるが、こういった研究がなかったからである。本研究の目的はこのようなシミュレーションが実行可能な数値コードを作成し、シミュレーションを実行することである。まず現実的状態方程式としては、Shenらによる相対論的場の理論に基づいた有限温度の効果も考慮したバリオンに対する状態方程式を基礎に、電子陽電子、ニュートリノ、輻射の効果も考慮した現在もっとも現実的といえる状態方程式を採用した。ニュートリノの冷却効果が重要な役割を果たすので、Leakage法と呼ばれる方法を用いながら、ニュートリノ放射を取り入れた。今年度はこれらの効果を取り入れた軸対称計算コードの作成およびそのコードのチェックを入念に行った。まず行ったのは、球対称の大質量星の重力崩壊である。大質量星のモデルとしては、HegerとWoosleyによって計算されインターネット上にデータが公開されているものを用いた。これまでにも同様の計算が球対称を仮定して行われているので、過去の計算と比べ一致することを確認した。さらに分解能を変化させた計算を行い、計算結果が十分に収束していることも確認した。これらの計算の後、回転している大質量星のモデルを用いて、数値シミュレーションを実行している。ただし、大変重い計算なので、NECSX8のような大型計算機を用いても、1つの計算を実行するのに1,2ヶ月を要する。そのため、まだ公表できるだけの結果が十分に蓄積できていない。しかし、計算自体は順調に進んでいるので、来年度以降、世界先端の成果を公表できる見込みである。 なお関連する仕事として、磁場入り回転星の重力崩壊のシミュレーションを、簡略化した状態方程式を用いて実行し、重力崩壊において重要となりうる磁場の効果を明らかにした。
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