研究概要 |
PETやSPECTなどの核医学画像は一般に安静呼吸下で撮影が行われる.データ収集中の被検者の呼吸による臓器の動きは再構成画像にぼけを生じさせ,診断精度を低下させる可能性がある.呼吸同期撮影法は被検者の呼吸サイクルをモニタリングして呼吸相ごとのデータ収集を行うため,臓器の呼吸変動に起因する画像のぼけを低減できるが,各呼吸相あたりのデータ収集時間が短いために再構成画像のSN比は悪い.本研究では,呼吸同期撮影画像における臓器の動きを非線形に補正する方法を開発した.本手法は,補正後の各画像を加算することによって画像のぼけとSN比の低下をともに防いだ高品質な核医学画像を提供する. また本研究では,開発した各呼吸相間の動き補正処理に基づき,肺野内部の局所換気能評価を実現するための手法や,各呼吸相の核医学画像に対する適切な吸収補正を行うための手法の開発を行った.これらの手法は呼吸同期撮影法の欠点を取り除き,より高精度な核医学画像診断の実現に寄与すると考えられる.さらに本研究ではX線CTとの融合像による診断を想定し,CT画像から抽出した肺野領域を葉構造へ分割するための手法を開発した.これにより核医学画像に肺葉の位置的情報が付加され,肺葉ごとの機能解析が可能になった.
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