研究概要 |
(1)前駆脂肪細胞3T3-L1、並びに3T3-F442の培養・分化誘導条件の再検討、Triglyceride E testによる脂肪量の定量、ゲノムDNA量の定量、PPARγの発現確認、GPDH活性測定について検討した。まず、3T3-L1細胞の分化誘導培養の最適条件の検討では、今まで脂肪細胞培養では一般的に用いられていなかったpH緩衝液HEPES(pH7.4)を添加することにより、安定に培養できることを見出した。さらに、細胞培養プレートのコーティングの検討では、poly-L-lysine及びcollagenでダブルコートしたものは剥離が少なく、3T3-L1細胞の安定した分化誘導が可能となった。分化度評価方法の確立では、これまでに主にOil Red O染色による形態的な顕微鏡観察によって評価されていた分化度をTriglyceride量の定量、DNA量の定量、Western blottingによるPPARγの検出などによって数値化することで、客観的な脂肪細胞の分化度評価法を確立することができた。本評価法を用いて、キノコ抽出物の脂肪細胞分化誘導阻害物質の探索を行った。(2)3T3-L1細胞にレポータプラスミドをトランスフェクトした系でのレポーターアッセイ系はレスポンスが悪く、使用できなかった。(3)ミコフェノール酸誘導体のうち、親化合物よりもPPARγに対してアフィニティーの強い化合物M04004並びにPPARαに対してリガンド効果を有する化合物M04013を見出した。(4)ミコフェノール酸を親化合物とするヒストンデアセチラーゼ阻害剤への分子変換を検討し、3種の阻害剤MPHA,7-OAcMPHA,7-O-Lauroyl MPHAの創製に成功した。中でも、7-O-Lauroyl MPHAは極めて有望と考えられる。
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