研究概要 |
プェノキサゾン環をリンカー構造に含む、バンコマイシン2量体の合成を進めた。 従来より行なってきた糖部結合2量体に於いては合成法の改良を行った。リンカー鎖長の短い誘導体(D-08)は、2量化反応直前に溶解度が低下するため最終生成物の収量に再現性が乏しいと言う問題を有していた。対イオン種の種類を適切に制御することで、中間生成物の溶解性を保ち、安定して2量体を合成することができるようになった。 続いて、リンカー結合位置をバンコマイシンペプチド鎖C末端に変更した新規フェノキサゾン型2量体の合成を進めた。合成した誘導体の抗菌活性をバンコマイシン感受生、耐性菌株について評価した。 2量体の機能解析の一環として、耐性誘導の有無について検討を始めた。2量体分子がバンコマイシン耐性遺伝子の発現を促しているかという点は重要である。プラスミド、または、染色体にコードされる耐性遺伝子のうちvanXによって合成されるD, D-ジペプチダーゼ活性によって定量的に耐性誘導の開始を検出できると考えた。 今後は、合成した2量体がVanA, VanBサブタイプのVREにおいて耐性を誘導するか否か検討を進める。
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