研究課題/領域番号 |
17035064
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
宮本 智文 九州大学, 大学院薬学研究院, 助教授 (40182050)
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研究期間 (年度) |
2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2005年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | 血管新生阻害剤 / チゴケムシ / bryoantharathiophene / BAEC / HUVEC / VEGF |
研究概要 |
ブリヨアントラチオフェン(BATP)は触手動物チゴケムシ(Watersipora subtorquata)より、ウシ大動脈内皮細胞(BAECs)の増殖阻害活性を指標に単離・構造決定した新しいチオアントラキノン誘導体であり、塩基性繊維芽増殖因子(bFGF)で誘導したBAECsの増殖を強力に抑制する(IC_<50>=5 nM)。更に、マトリゲルを用いた管腔形成を10ng/mLの濃度で阻害する。しかしながら、BATP自体、原料動物であるチゴケムシから極めて微量しか得られず(湿重量1kgのコケムシから100μg程度)、また、原料動物も希少であることから、作用メカニズムの解明、更に、新規血管新生阻害剤シードをめざし研究を遂行するためにBATPの全合成による原料供給体制の確立を計画した。 Kelly等が報告したthioanthraquinone (ATP)合成ルートを参考に、市販の1,8-ジヒドロキシアントラキノン(DHAQ)を出発原料に、ニトロ化により1-NO_2-DHAQ、ethyl mercaptoisopropionateの求核付加によりチオエーテル体を得た。現在、種々のアルカリ条件下3の環化、脱炭酸によるBATPの合成を行っている。また、1-NO_2-DHAQへのα-mercaptoacetateを求核付加し、得られたチオエーテル体をKnoevengel型環化反応によりATPを合成した。ATPも表題動物より得られた天然成分であり、BAECsに対し増殖抑制を示すことから(IC_<50>=2.2μM)、合成したArPを用いヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVECs)に対する血管新生阻害活性を評価した。その結果、ATPはヒト鼻因腔がん(KB)に毒性を示さず、内皮細胞特異的な増殖阻害活性を示した(IC_<50>=10μM)。更に、血管内皮増殖因子(HUVEC)に対しても因子特異的な増殖阻害活性が確認されたことから、BATP及びATPは血管新生阻害剤シーズとして十分期待できる研究成果を得た。
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