研究概要 |
生物活性多環式天然物の合成のための光学的に純粋なキラルビルディングブロックスとして、橋頭位に芳香環または長鎖アルキル基の置換したビシクロ[3.1.0]ヘキサノンを独自に開発した触媒的不斉分子内シクロプロパン化反応により創製し、光学的に純粋なマリンゴライドの合成に成功した。また、本手法により創製したキラルビルディングブロックスをもとにジギトキシゲニンの不斉全合成達成を検討中である。 baker's yeastを用いた新キラルビルディングブロックスの高立体選択的創製に成功し、エリナシン類の不斉全合成に有用なトランス縮環構造を有する合成中間体の不斉合成に成功した。これよりエリナシンE、スキャブロニンAの世界初不斉全合成を検討中である。また、baker's yeastを用いた新キラルビルディングブロックスより合成したエノンへのシアン化物イオンの高立体選択的1,4-付加反応を見出し、タキソールC3位の不斉中心の構築に成功した。前例のないPLEによる速度論的光学分割を発見し、それをもとに不斉四級炭素を有するキラルビルディングブロックを創製した。これよりオフィオボリンAの世界初不斉全合成を検討中である。 新規不斉配位子を利用する触媒的不斉野崎-檜山アリル化反応、メタリル化反応を活用し、HMG-CoA還元酵素の阻害活性(IC50=0.95nM)を有するFR901512の合成中間体の不斉合成に成功した。これよりFR901512の絶対配置を含む構造確認を行いつつ、世界初不斉全合成を検討中である。また、新規不斉配位子を利用した野崎-檜山アレニル化反応の最初の不斉触媒化にも成功した。一方、多環式天然物の合成に有用なジエンがエステルにより活性化された(E, E, E)-ノナ-1,6,8-トリエンのIMDA反応において、反応のジアステレオ選択性とC3位立体配置に密接な関係があることを見出した。
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