研究概要 |
本研究では、2分子の不飽和炭化水素類がそのπ-平面を平行に配置することで生じる「π-電子空間」における金属集合体の形成、およびその構造制御について検討をおこなった。「π-電子空間」は固体状態では、グラファイトの層間に形成されることが知られており、金属を層間にインターカレートさせた材料は、金属触媒・水素吸蔵材料・2次電池などに広く応用、または応用されようとしている。しかし、このようなπ-電子空間内で、金属原子がどのような集合体を形成し、どのような性質を持つのか、分子レベルではほとんどわかっていない。本研究者は、1次元性sp^2共役不飽和炭化水素である共役ポリエンが2分子集合することにより形成される1次元性π-配位空間において、パラジウム原子が1次元的に集合し、バイナリー分子(サンドイッチ分子)が生成することを明らかにしている。また、それ以降の研究により、1)オリゴマーサイズの合成法の確立,2)サンドイッチ構造とハーフサンドイッチ構造の化学的相関,3)逐次的パラジウム鎖成長反応、の3点について明らかにしてきた。本研究において、共役ポリエンとともに重要な鎖状共役化合物であるパラフェニレンビニレン、およびその類縁体から形成されるπ-電子空間に対して、パラジウム原子がフェニレンビニレンの共役形状に合わせた折れ曲がり構造(120°折れ曲がり)をとることを明らかにした。
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