研究課題/領域番号 |
17036041
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
矢野 重信 奈良女子大学, 大学院人間文化研究科, 教授 (60011186)
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研究分担者 |
小幡 誠 奈良女子大学, 大学院人間文化研究科, 助手 (70343267)
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研究期間 (年度) |
2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2005年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 配位空間 / 金属クラスター / ナノ制御 / 光機能 / ルテニウム / 電子移動 / エネルギー移動 / ナフタレン |
研究概要 |
1.生体内ではポルフィリンなどの光機能性分子が高い対称性を持って高度に集積することにより光エネルギーを捕捉している。本研究では安息香酸残基を有する光機能性分子(ナフチル類)がデスクリートにその配位空間がナノスケールで制御された人工光合成システムの実現において、極めて重要な光機能性Ruクラスターの構築と新機能開発を行うことを目的としている。 2.環境応答蛍光プローブとして良く知られているナフタレンを光機能性部位とする複核Ru錯体[Ru_2(dhpta)(μ-O_2CCH_2-n-naph)_2]^-(CH_2-n-naph-CO_2H=n-naphtylacetic acid, n=1(2),n=2(3))を合成し、その光化学挙動を検討することによりRu周りの配位空間に関する情報を得ることを試みた。錯体3は良好な結晶が得られたのでX線結晶構造解析を行った。錯体2および3のDMSO溶液中でのRu周りの配位構造を広域X線吸収微細構造(EXAFS)の測定によりDMSO溶液中においてもその配位構造が保たれていることを確認した。 3.錯体2および3の蛍光強度測定から、ナフタレン部位から複核Ru部位へのエネルギー移動もしくは電子移動が示唆された。さらに77Kでの蛍光スペクトルはナフチル酢酸のものと比べて低エネルギー側にブロード化しており、このことはエキシマー形成を示唆している。このことをより詳細に検討するために錯体2および3の蛍光寿命を時間相関単一光子計数法により測定した。その結果、錯体3は錯体2よりもエキシマー成分が多いことが判明した。このことは配位部位として-CH_2-CO_2^-型の官能基を有する色素では、その官能基の置換位置により色素間相互作用を調整することができることを示しており、Ru周りの配位空間中での配位子制御において重要な知見が得られた。
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