研究課題/領域番号 |
17036051
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
藤田 典史 九州大学, 大学院工学研究院, 助手 (10346819)
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研究期間 (年度) |
2005
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研究課題ステータス |
完了 (2005年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2005年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 白金 / キノリノール / リン光 / ポルフィリン / 分子ワイヤ / ゲル / 分子集合体 / 自己集合 |
研究概要 |
本研究は低分子ゲル化剤に遷移金属錯体を組み込み新現象・新材料の創製を目指すことを目標としている。生体様の高度な分子プログラミングにより設計される低分子ゲルは、一次元状の分子組織体が絡み合って生成する三次元網目状構造内に溶媒分子が捕捉されて溶媒分子が流動性を失った結果生成する柔軟応答空間であることから、以下のような特徴を有する。1)自己集合性分子組織体により構成されているため、加熱・冷却による解離・会合が可逆的に起こる。すなわち、熱可逆的なゾル-ゲル相転移を示す。2)低分子ゲル内ではアスペクト比の高い一次元ナノファイバーが生成している。3)弾力を有し、加工性に富むゲル状材料を与える。一方、遷移金属錯体は可視領域に特徴的な色調を持つものが多く、物質変換の鍵となる化学触媒能、酸化還元活性など、機能性分子素子として有用な構成要素である。これらの特徴に組み合わせ、"配位結合性低分子ゲル化剤"の概念のもと以下の成果を得た。 1.8-キノリノール白金(II)錯体を基体とした低分子ゲル化剤を合成した。電子顕微鏡観察により、ゲル組織は幅数十ナノメートル、長さ数マイクロメートルを有する繊維状会合体であることが明らかとなった。ゲル形成に伴う錯体部位の会合に由来し、ゲル自体の色と発光色を劇的に変化させた。さらに、燐光の酸素消光が、溶液中に比べ効率よく抑制されていることが明らかとなった。 2.オリゴチオフェンを基体とした低分子ゲルはその一次元的な分子集積によりオリゴチオフェン部位のコンフォメーションが固定され、有効共役長が伸びるために劇的な色調変化をもたらす。酸化還元活性を利用して化学的な酸化還元により可逆的に相転移を支配できることを明らかとした。 3.豊富な電気的・光学的特性を有するポルフィリンを分子デザインし、反応性官能基を有する低分子ゲルを作成した。ゲルを作成後in situ重合を行うことで高度に発達したポルフィリンワイヤの固定化に成功した。ゲル自体も物理的強度が増したことがレオロジー測定により明らかとなった。力学的刺激応答性材料開発への展開が期待される。 4.テトラチアフルバレンは単結晶中、一次元状の層状構造に沿った導電性を有する有機導電体として知られている。この一次元状構造をゲル繊維として切り出し、分子ワイヤを作成した。
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