研究課題
特定領域研究
(1)Mn12-ac-dppに対して、架橋配位子として、種々の架橋配位子を用いて、合成することにより、溶解度の低いポリマーが得られたが、単結晶化には現在のところ成功していない。磁気測定を行ったところ、いずれもMn12核錯体より劣るものの、単一分子磁性を示した。(2)平面性配位子としてSchiff塩基系配位子H_2L1およびH_2L2を選び、Mn(III)との錯体を形成し一次元鎖磁石の形成を目指して実験をおこなった。用いたMn原料の違いや操作の違いにより1-3(L1^<2->)および4,5(L2^<2->)の結晶性固体が得られ、1-4について構造解析に成功した。これらはいずれも平面性の配位子がMnイオンを取り囲み、その上下から対アニオン(PhCO_2^-、あるいはN_3^-)と水が配位した単核錯体であった。拡張π系を通した相互作用により一次元的なつながりを持つ構造を有することが明らかとなった。磁気測定の結果、1,3,4では反強磁性的な相互作用が観測されたが、2,5において、50K以下の低温域でχ_MT値が上昇する強磁性的な相互作用が観測された。磁化率の解析から、2は二量体を形成し、二量体内では強磁性的な相互作用を有することがわかった。3K以下で、複素成分の立ち上がりが観測され、これは単一分子磁石であることを強く示唆するものである。5でも同様に交流磁化率の周波数依存性が確認できた。これらは、単核錯体の強磁性二量体が単一分子磁石の性質を示した最初の例である。平面性単核錯体を積層させて単一次元鎖磁石を形成するには、新たな配位子設計が必要であると考えられる。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (4件)
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