研究課題
特定領域研究
本研究では、MPCVD試料を使い、1:超伝導転移温度のボロン濃度依存性の研究。2:軟X線を利用した電子構造の研究。3:ラマン実験による、格子のソフト化の評価を行い、超伝導発現機構について研究した。1:(111)と(100)の2種類のダイアモンド基板でのホモエピタキシャル試料を作製した。(100)基板では、高濃度に入れた試料でも、Tcは4K以上にはならない。一方、(111)基板に成長させた試料では、TcがOnsetで、114Kで、0(ゼロ)抵抗のTcが7.4Kの試料の作製に成功した。(111)基板に成長させた試料は、(100)基板に作製した試料に比べ、高いTcを持つことがわかった。2:BDDの超伝導の起源には、二つの理論が提出された。一つは、強い電子格子相互作用が、超伝導の起源であるとするもの。もう一方は、不純物状態でのRVB機構が、超伝導の起源であるとするものである。軟X線による、吸収・発光分光実験を行った。非超伝導試料では、不純物状態Iと価電子帯とは、分離していると考えられるが、超伝導試料では、スペクトルの半値半幅は0.8eVで、不純物準位Iと価電子帯最高エネルギーとの差0.37eVより大きく、不純物状態は価電子帯と混成していて、孤立しているとは考えられない。次に、軟X線角度分解光電子分光(SXARPES)を行った。ボロン濃度が濃くなるにつれて、フェルミ準位が価電子帯の中に入り込み、価電子帯にホールが形成されることが、示された。以上2つの軟X線分光実験による電子構造の研究から、超伝導の起源は、強い電子格子相互作用であると考えられる。3:ラマン散乱を測定した。Bの濃度が増すにつれ、価電子帯のホールの対称性と同じ対称性の格子振動が強くソフト化することが、わかった。しかし、第一原理計算による予測に比べて、ソフト化の程度は少なかった。ラマンの結果は、Hoesch等による放射光を利用した格子振動のソフト化を測定した実験結果と一致している。超伝導が、強い電子格子相互作用によるものであることを示している。
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