研究課題/領域番号 |
17038019
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
芦田 昌明 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教授 (60240818)
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研究分担者 |
宮島 顕祐 大阪大学, 基礎工学研究科, 助手 (20397764)
伊藤 正 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (60004503)
齋藤 伸吾 情報通信研究機構, 基礎先端部門, 主任研究員 (80272532)
片山 郁文 大阪大学, 基礎工学研究科, 特任助手 (80432532)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
5,700千円 (直接経費: 5,700千円)
2006年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2005年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
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キーワード | 電子相関 / 光誘起磁性 / 半磁性半導体 / 高密度励起効果 / 協力現象 / 超放射 / 強相関電子系 / 光物性 / テラヘルツ / 光スイッチ / 強相関エレクトロニクス / 赤外分光 / 赤外材料・素子 |
研究概要 |
今年度は、電子相関が及ぼす特徴的な物性として磁性を対象とし、光励起による磁気応答の時間変化を調べる目的で、化合物半導体に磁性イオンを大量にドープした半磁性半導体(希薄磁性半導体)CdMnTeを取り上げた。昨年度に構築した、超伝導マグネットと組み合わせた、エネルギー幅の狭いピコ秒パルスレーザー分光システムを用いて、磁性イオン濃度が高い半磁性半導体Cd_<0.8>Mn_<0.2>Teを瞬時強励起し、混晶及び磁気揺らぎによる深いポテンシャルポケットに電子・正孔系を直接高密度に生成すると、高密度電子・正孔系と磁性イオンとの相互作用の影響を強く受けた発光帯が新たに生じることを見いだした。この物質では、光照射により生じた励起子の電子・正孔はs,p-d交換相互作用を通じて、電子・正孔の波動関数の広がりの範囲内にある磁性イオンの磁気モーメントの方向を揃えて安定化し、励起子磁気ポーラロンを生成する。励起強度増大に伴い、局在磁気ポーラロン発光(LMP)の高エネルギー側に、非線形に増大する高密度電子・正孔系の発光が観測された。この発光はバンド間励起では顕著に現れない。さらに、通常の単独の励起子ポーラロン発光であるLMP発光は磁場印加によるエネルギーシフトを示さないが、新たに発見した発光は顕著な低エネルギーシフトを示す。これらの実験結果の解釈として、励起子磁気ポーラロンの高密度励起によって、励起子磁気ポーラロン問の磁性スピンを一方向に揃える励起子局在状態の高スピン配置状態が安定化することを提案した。 一方、光励起状態における協力現象の一つとして、量子ドット集団からのいわゆるDickeの超放射(超蛍光)現象を対象とした実験も行った。具体的には、NaCl結晶中のCuCl量子ドットの励起子分子状態を二光子共鳴励起することにより、励起子分子状態と励起子状態の間に完全反転分布を生じさせ、超蛍光を量子ドットの集団としては初めて見いだした。
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