研究課題/領域番号 |
17038023
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
伊豫 彰 独立行政法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス研究部門, 研究グループ長 (50356523)
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研究分担者 |
永崎 洋 独立行政法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス研究部門, 主任研究員 (20242018)
鬼頭 聖 独立行政法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス研究部門, 主任研究員 (30356886)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
5,100千円 (直接経費: 5,100千円)
2006年度: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2005年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | 高温超伝導 / 多層型銅酸化物超伝導体 / 高圧合成法 / フローティングゾーン法 / 新超伝導体探索 / 酸化物単結晶育成 |
研究概要 |
銅酸化物超伝導体におけるブロック層の「乱れ」の効果とCuO2層の枚数が超伝導特性に与える影響を調べてTcの向上指針を探ると共に、CuO2面を4枚有する頂点フッ素系単結晶について光電子分光測定を行い、下記の結果を得た。 1.ブロック層の乱れによる不均一 局所的格子歪みの大きさを制御したBi2Sr2-xLnxCuO6+δ(Ln=La,Gd等)においてSTM/STS測定を行った。その結果、いずれの系にもナノメートルスケールのギャップ不均一性が存在するものの、特に局所的格子歪みの大きいLn=Gdでは不均一性が大きく(D>50meV)かつV型の構造を有する、いわゆる擬ギャップ型の特徴を示す領域が顕著だった。擬ギャップ領域の増大は、Bi2212の不足ドープ領域においても観測されており、CuO2面外の化学的不均一性が擬ギャップ領域の増大(=超伝導領域の減少)に起因するものであることを示している。 2.CuO2面の多層効果 ブロック層の乱れはTcに破壊的効果を与えるが、多層型ではブロック層から離れている内側のCuO2面(IP)は乱れの影響を受けにくいため、IPへの最適なキャリアドープ実現により、より高いTcが期待できる。Hg系およびF系多層型超伝導体のTcとCuO2面の枚数(n)との関係を調べた結果、n=3においてTcの最大値を有し、n=5以上ではそのTcはほぼ一定となった。これは、多層系では、ドープされたキャリアがほぼ外側のCuO2面(OP)に偏在し、IPへのキャリアドープが有効に行われなかったことを示唆している。 3.セルフドーピングの可能性 ブロック層を乱さず、かつ、IP、OP共にキャリアがドープされた状況が実現していることを示唆する結果が、n=4のF系単結晶の光電子分光によって得られた。IP、OPに対応する2本のバンドが観測されており、かつその面積から各々のバンドにドープされたキャリア数を見積もると、正孔0.2(Band P)、電子0.2(Band N)となる。このことは、本系ではIPからOPへ(あるいはOPからIPへ)電子が移動し、それぞれ正孔、電子がドープされた状態となり、Tc=55Kの超伝導が実現したことを示している。
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